2012年に全国で地域包括ケアシステムの必要性が示され、それを受けて2016年に神奈川県で、病院の医療機能を厳格にしていく地域医療構想が策定されました。しかしながら、その後も湘南西部二次医療圏(平塚市、秦野市、伊勢原市、大磯町、二宮町)では、急性期病院から慢性期・回復期病院や介護施設への転出は思うように進まず、急性期治療を終えた患者さんも急性期病院に多数在院している状態が続いていました。湘南西部医療圏ではこれらの退院困難な方々が、他の医療圏に比して多い状況で、各医療機関が転院転出に多くの時間を費やしていました。
 
 そこで病院、在宅診療所、介護関連の各施設が、受け入れ可能な患者さんの病態をクラウド上で共有するシステムを作り、転出患者さんの病態に沿った受入れ施設をシステム上で素早く検索・抽出し、ネットを通じてより早く交渉を行うことを考えました。これが出来たならば、各施設の日常業務も効率化され、地域包括ケアシステムの構築にも有用と考え、二次医療圏の三医師会と市町の行政、県医療課の賛同を得て、2018年半ばから準備を始めました。
 
 そして、2020年4月にCOVID-19のパンデミックの始まりとともに、medical B.I.G. net®が本格稼働いたしました。Bは病院協会、Iは医師会、Gは行政の頭文字をとったものです。この三者の協力が地域包括ケアシステムを形作るためには、極めて重要であるとの思いで名付けたものです。
 
 初年度は湘南西部二次医療圏内のみで活用を始め、有用性が理解されてきたため、2021年度には医療圏を超えた周辺地域への拡大に取り組みました。同時に、medical B.I.G. net®参加対象施設も病院・医師会のみでなく、全ての介護関連事業所に拡大してまいりました。現在の会員施設地域は隣接する県西、県央、湘南東部医療圏や静岡県東部地域にも拡がってきております。システムの機能面でも患者・利用者さんの早期転入転出の折衝を行いやすくするため、年々システムに改修を加えております。また、医師会との連携を密にすべく、メッセージ機能を新たに搭載して、平塚市の認知症初期集中支援チームへの利用を進めております。より良い地域包括システムを構築すべく、関係各位のご理解、そして運営に関するご協力をよろしくお願いいたします。
 

 
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                                2025年6月
                                湘南西部病院協会会長
                                中 川 基 人
 
                                湘南西部病院協会顧問
                                medical B.I.G. net® 事務局長
                                丹 羽 明 博